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健康づくり・読書の習慣づけ Jリーグクラブの社会貢献「シャレン」

2021.05.21
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標4:質の高い教育をみんなに
目標11:住み続けられるまちづくりを

セレッソ大阪が取り組む読書手帳。さて大久保嘉人選手の愛読書は?

Jリーグ57クラブはホームタウンで取り組む社会連携活動(シャレン!)を通じて、SDGsにも貢献しています。数多くの取り組みの中から、今回は昨年の「シャレン!アウォーズ」でパブリック賞を受けた徳島ヴォルティスの「ヴォルティス・コンディショニングプログラム」と、セレッソ大阪が小学生を対象に行っている「読書推進プロジェクト」を紹介します。

「美馬モデル」地域・競技を超えて注目

20歳代から80歳代まで年齢はばらばらだが、2カ月間、一緒に体を動かしてきた仲間だ。プログラムの最終日、「頭痛が楽になりました」「正座ができるようになりました」と、体調の変化を報告する参加者の言葉に、周囲が笑顔でうなずく。徳島ヴォルティスが県西部の美馬市で取り組む「ヴォルティス・コンディショニングプログラム」は2021年度で3年目。昨年の「シャレン!アウォーズ」でパブリック賞を受けた。

発端は2018年。徳島ヴォルティス取締役でホームタウン推進部の谷直和さんは、前社長から「ソーシャルインパクトボンド(SIB)」という言葉を聞いた。成果連動型委託契約のこと。「勉強してみないか、と。最初はなんですか、それ、という感じでした」

おそろいのTシャツを着てトレーニングする参加者たち。体幹と姿勢が目に見えて改善される

当時、年に400回を超えるホームタウン活動を行っていた。チームの知名度はあがるが、事業化の道筋をつけなければ、長続きしない。そんな悩みがあった。「調べてみると、SIBには地域の課題解決への貢献を事業にできる可能性がある。これだ、と」

既存の活動の中にあったアクティブシニア向けの活動をヒントにして、ホームタウンの4市4町(当時)で一番高齢化率が高い美馬市に持ちかけた。美馬市の人口は16年前の広域合併時の約3万5千人から7千人減。高齢化に歯止めをかけ、医療費抑制などの手を打ちたい市の悩みに、ヴォルティスの取り組みが合致した。

事業は民間の資金を活用して5年計画でスタート。年間約750万円の運営資金のうち、成果連動部分の60万円は阿波銀行から融資を受け、成果に応じて美馬市からの支払いを銀行への返済に充てる。スポーツクラブ運営会社の「R-body project」がトレーニングメニュー、大塚製薬が栄養補助食品などの提供で協力。クラブスポンサーの明治安田生命は参加者募集に一役買った。

最終日には、積んできたトレーニングの成果を一人ひとり入念にチェック

1クールは8回。最大25人の参加者は、クラブのホームタウン推進部普及コーチの下、週に1回、正しい体の動かし方を学ぶ。受講終了3週間後に参加者に「最近の体調はどうですか」「運動習慣がつきましたか」などを書面で質問。その回答が、市民の健康作りに寄与したかどうかの成績表だ。

21年3月までに250人が講習を修了。美馬市保険健康課の花岡正昭さんは「5年間で1800人が目標。子どもの運動不足を解決するプログラムにも広げたい」と話す。

協力の大塚製薬は毎回、食や栄養などテーマに沿ったレクチャーをする。「製品の知名度はあっても、どういう効果があるかを知ってもらう機会は少ない。健康を意識してもらうことで地域に貢献できればなによりです」と徳島支店の山内崇晴さん。

昨年、谷さんと花岡さんは北海道に招かれて取り組みの報告をした。サッカーだけでなく、他競技からも問い合わせがあるという。クラブ、自治体、企業が連携する「美馬モデル」は、地域や競技を超えて注目を集めている。

1クールを終えて記念撮影。「畳の縁につまずくことがなくなった」という声も

ターゲットは図書館に来ない小学生

元日本代表MF清武弘嗣の愛読書が新美南吉作「ごんぎつね」ときけば、誰もが興味をそそられる。サッカーと読書という取り合わせを地域貢献に結びつけたのが、大阪市立図書館とセレッソ大阪だ。市内の小学生を対象にした「読書推進プロジェクト」は3年目を迎える。

セレッソからプロジェクトを持ちかけられた市立中央図書館の澤谷晃子さんは「サンフレッチェ広島がプロ野球、交響楽団とコラボして読書貯金通帳を作っていた広島市の例をヒントにしました」と話す。広島では図書館の来館者が対象だったが、澤谷さんはターゲットを図書館に来ない小学生に据えた。

大阪市の小学生は学力テストで読解力が低いという調査があった。実際に図書館に足を向ける子どもも減るばかり。小学生に一冊でも本を読んでほしいという図書館全体の思いは強かった。そこで2018年に教育委員会を通じ、市内の小学校約300校の全生徒へ、折りたたむと手帳になるA3判の用紙を配布した。これが当たった。

19年に開いたスタジアムでの読書会。親子100人が参加した=セレッソ大阪提供

翌19年に正式なプロジェクトになり、セレッソのスポンサーの印刷会社、シール会社らの協力で手帳を製作。子どもたちは本を一冊読むごとにシールで5段階評価をつけ、50冊読破をめざす。目標を達成するとホーム試合の招待券やオリジナルグッズがもらえるという仕組みだ。

読書のガイド役になるのが、セレッソの選手たち。20年の手帳には、選手たちの推薦本として「タンタンの冒険旅行」(ブルーノメンデス=現福岡)などが紹介されている。選手の推薦本の選定には苦労しそうだが、セレッソ・ホームタウングループの伊藤由佳さんによれば、子どもへの読み聞かせで、絵本になじみのある選手も多いという。「この選手がこんな本を読むのか、という意外な発見も多かったですね」

イベントもしかけた。18年には図書館とスタジアムを一日で回るダブルツアーを開催。翌年はスタジアムのピッチ脇での読書会も開いた。

18年には図書館とスタジアムのダブルツアーを実施した=セレッソ大阪提供

コロナ下の昨年、25冊読破の子どもが1千人から1300人に、50冊超えが600人から800人に増えた。中央図書館の現担当の西尾真由子さんが話す。「確実に手ごたえがあります。昨年は出版社の協力で企画していたイベントが中止になりましたが、選手や監督のオンラインでの読み聞かせなど、できることを考えていきたい」

セレッソは、今年から同じくホームタウンである堺市にも取り組みを広げている。

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