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SDGsの視点からオリパラを考える 東京大会を契機に何が変わるのか 朝日新聞社・慶大研究室調査

2021.08.13
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは、夏季大会で初めて、準備で国連が掲げる「SDGs」(持続可能な開発目標)を指針にしました。SDGs研究の第一人者である慶応大大学院の蟹江憲史教授の研究室などと朝日新聞は、SDGsの視点から大会が社会に与える影響について共同で調査を続けています。大会を契機に何が変わるのか。学生らと記者が問題意識を共有して調べていることの現状を一部紹介します。(朝日新聞スポーツ部・野村周平、前田大輔)

運動習慣、10年間変化ほぼなく

スポーツを楽しむ人を増やして人々の健康的な生活に資することは、大会開催の意義として掲げられています。ただ、現状は増加につながっていません。

厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、2019年の運動習慣者は男性33.4%、女性25.1%。09年からあまり変わっていません。調査したユ・タオさんは「イベントが運動習慣の増加を促したとは考えにくい」と指摘。その上で「運動意欲を行動に移しやすいような環境の整備が必要」と提案します

中井里衣子さんは五輪の主な19競技について、招致に成功した13年度から7年間の全国高校体育連盟の登録者数の増減を調査。登録者数が伸びた競技もありましたが、コロナ禍の影響もあって全体的に低下傾向でした。例えばテニス。20年度、男子は前年度比7264人減の4万6520人、女子は3997人減の2万9190人となりました。中井さんは「残念な結果。感染対策などを周知しないと、再び登録数を増加させるのは難しいのではないか」と話します。

リサイクル率、横ばいが続く

東京大会の会場では、各所にリサイクルボックスを配置して選手らに回収を呼びかけます。ペットボトルのリサイクル率などを調べる団体の年次報告書によると、2019年度は85.8%。ここ数年は横ばい状態が続きます。報告書は30年のリサイクル率100%を目指しています。増居翔太さんは、「東京大会で100%を達成すれば、今後のモデルケースになる」と期待。ただ回収されても、食品トレーなどになる場合は二酸化炭素を排出します。コストがかかっても二酸化炭素の排出が少ない「ボトルtoボトル」が広まるきっかけになるか。増居さんはそんな視点でも見つめています。

大会後に報告書

環境破壊などの問題で立候補を辞退する都市が増え、国際オリンピック委員会(IOC)は五輪改革の一環で、SDGsに沿った運営を求めています。東京大会の組織委は、数値目標とともに「気候変動」「資源管理」など五つの柱を設けました。全ての金銀銅メダルを再生金属で作るなどしています。今年7月には大会前報告書の追補版を発表。大会後も、報告書を公表します。

慶応大大学院・蟹江憲史教授

慶応大大学院・蟹江憲史教授

「東京大会は、大半の競技が無観客で開催される極めて特殊な五輪となりました。他の大会と比べて何が残り、何が残らなかったのか。社会に与える影響を測る重要性はより増したと考えます。私たちは指標の選定からSDGsを軸にしてぶれることなく第三者の視点で大会を評価しようとしてきました。大会後の調査・分析は、より大事になってきます。学生たちと重視したのは、お金では測れない指標です。企業でも非財務情報に関する評価の重要性は高まっています。SDGsの視点から大会を見ていくことは、今後の五輪のあり方を考えるためにも意義があります」

■ほかの主な調査項目

  • 競技会場周辺の水質
  • 競技会場での再生可能エネルギー利用状況
  • ジェンダー平等への五輪関連企業などの取り組み
  • ハラル料理普及状況など宗教上の習慣への配慮
  • ホテルでのユニバーサルデザインに配慮した客室数の変化、民泊の利用者数推移
  • 被災地での経済効果など復興に五輪が与えた影響

東京五輪では当初、大会が社会や環境などに与える影響を第三者が客観的に評価する「OGI調査」をまとめる予定で、その調査を慶大の蟹江教授らに委託していました。しかし、大会組織委員会はそれを打ち切り、自らがまとめるレポートの公表にとどめることとしています。五輪が環境・社会・経済にどんな影響を与えたのか。主にSDGSの視点から定量かつ定性的に調査することには意義があると考え、私たちは蟹江ゼミの学生らとともに、大会中や大会後も継続して調査を進めていく予定です

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