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「共感」を生む映像でSDGsを伝える、フジテレビとヤフーの担当者が対談~SDGs書籍の著者に聞く第4回~

2021.05.24
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

「SDGs書籍の著者に聞く」と題したリレー形式のオンラインイベント(主催:朝日新聞社/共催:SDGsジャパン)の第4回が3月6日に開催された。特別編の今回のテーマは、「映像」。フジテレビジョンの木幡美子CSR推進部長と、ヤフージャパン・クリエイターズプログラム短編ドキュメンタリー部門の責任者・金川雄策氏が登壇した。両者の考えは、SDGsを映像で伝えるには、視聴者に「共感」してもらうことが大切という点で一致した。

放送時間は1分半

映像メディアに携わる木幡氏と金川氏にとって、SDGsとは「世の中にある社会課題」だ。「共感」は、映像を通して社会課題を目の当たりにした視聴者が、実際に何かアクションに移す時の原動力になるという。

「テレビにできることはまず、どんな社会課題があるのかを視聴者に見せること。(世の中で)困っている人や、課題を解決しようとしている人の存在を知って考えてもらいたい」(木幡氏)
木幡氏が監修する番組は「フューチャーランナーズ~17の未来~」。何らかの社会課題を解決しようと奮闘する人を「ランナー」と呼び、1人ずつ1分半で取り上げる。2021年5月5日に135回を超える放送に登場したランナーたちは、草の根レベルの活動を行う一般人から著名人まで幅広い。

たとえば、東日本大震災で津波の被害にあったカキ養殖をする漁師の8年(2019年当時)を追ったり、重度の自閉症をもちながら米国ニューヨークで個展を開いた若手画家の姿を映したりする。

放送時間はわずかでも、制作には時間がかかる。視聴者に共感してもらえる番組にするためだ。たとえば、番組の始まりと終わりの30秒間に入れるランナーへのインタビューは、実際はおよそ1時間かけて撮影する。木幡氏は「(ランナーから)生き様や本音が見て取れるような言葉がしぼりだされるまで、とにかくねばる」と明かす。ロケは2、3日間に及ぶこともあるという。

放送に英語字幕をつける手間も惜しまない。日本の番組だからと日本人だけに届けるのではなく、あらゆる人が、どんな小さなアクションでもよいので踏み出せるきっかけをつくりたいという思いが込められている。木幡氏によると、英語字幕を加えたきっかけは、国連主催の「世界テレビ・デー」記念イベントで2018年、「フューチャーランナーズ」が世界で初めてSDGsをテーマにしたレギュラー番組として流されたことだ。

実際に視聴したヤフーの金川氏は、「1分半の放送は、テレビ局ならではのクオリティーの高さ。(ドキュメンタリーとは違い)ナレーションがあるおかげで、入ってくる情報も過密にならない。英語字幕も見習いたい」と話した。

フジテレビの木幡美子さん

ナレーションなしの魅力

一方、金川氏が手がけるのは、約10分間のドキュメンタリー番組を発信する場づくりだ。番組制作の主体となるのは、社会課題に対して、何か映像で発信したいという熱意をもつクリエイターたち。取材して完成した番組を、ヤフーの「DOCS for SDGs(ドックスフォーSDGs)」というプラットフォームサイトに投稿する仕組みとなっている。

特徴の一つに、作品にナレーションが一切入らないことがある。金川氏は「視聴者は自分で何かをつかみとって、頭で考えなければならない。その世界に浸れるようにしている」と説明する。

オンラインイベントでは、実際に1本の作品を流した。内容は、ベトナム人の技能実習生を受け入れる、久健興業(本社:北海道千歳市)を追ったものだ。

フジテレビの木幡氏は「(番組にこもる)温度が高い。登場する社長と実習生の心の移り変わりや息吹、熱量が伝わってくる。ナレーションがないことに気づかないほど」と感想を述べた。

ヤフーで「DOCS for SDGs」が始まったのは2020年3月。以前から続く、社会課題を扱う短編ドキュメンタリー動画を配信する「クリエイターズプログラム」の一環だ。特徴は、従来のプログラムよりも、クリエイターが時間をかけて作品をつくること。不定期に3作品ずつアップするという。

クリエイターズプログラムの活用例

企業や他のメディアもつなぐ

またオンラインイベントには、横浜国立大学1年の入江遥斗氏がゲストとして登壇した。入江氏がつくった『Take Action, Again.』という1分間の映像は、SDGsを伝える日本発の国際映像コンテスト「第1回SDGsクリエイティブアワード」のSDGs普及促進映像部門で大賞を受賞。作品に出演するのは、SDGsの達成に向けた活動に取り組む高校生たち。それぞれ、学校の黒板の前で指をはじくことで、小さな1歩でも「SDGsで世界を変える」行動を始めようというメッセージを伝える。

入江氏は、木幡氏が制作に携わる「フューチャーランナーズ」について、社会課題とそれを解決するアイデアを結びつけるもので、「学校で教わるのは問題だけで、解決策はわからないまま。モヤモヤした感情を解消できる貴重な場だ」と評価する。

モヤモヤを消化できるという共通点を、金川氏が取り組む「DOCS for SDGs」にも見いだす。「発信したいことがあっても、機会がなくてできない人が多い。発信するためのプラットフォームを与えることが、課題やアイデアの可視化につながる」(入江氏)

木幡氏と金川氏は、映像メディアが今後、自社と他のメディアや民間企業、視聴者を「結びつける役目」を果たすべきだ、と話した。

『Take Action, Again.』
writer:久木 絢加 取材協力 NPOメディアganas

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